業務アプリと注文サイトの連携|kintone等の二重入力をなくす方法
2026.10.15
kintoneやFileMakerなどの業務アプリで受注を管理している会社が、取引先向けの注文サイトを足すと、注文を業務アプリに打ち直す作業が新しく生まれがちです。
二重入力をなくすには、まず使っている業務アプリと契約プランで、外部とデータをやり取りする手段(API・Webhook・CSVの読み込み)が使えるかどうかを見ます。APIがあれば注文をほぼ即時に取り込め、APIがなくてもCSVを受け渡せば打ち直しはなくせます。どの手段でも、CSVで取り込んだ更新は外部に通知されない、といった仕様上の抜け道があるので、定期的に差分を取りにいく処理を組み合わせます。
この記事では、業務アプリごとの連携の手段を各社の公式情報で比べ、設計で外しやすい点を整理します。製品の仕様と料金は2026年10月15日に各社の公式ページで確認したものです。
※受発注総研は、Bカート認定パートナーとして構築・運用代行を手がける株式会社Cravalが運営しています。
この記事でわかること
- 業務アプリと注文サイトをつなぐ3つの方法(API・連携ツール・CSV)
- kintone・FileMaker・Power Apps・楽楽販売・Access・Excelで使える連携の手段とプラン条件
- CSV取り込みや一括操作ではWebhookが通知されない、という設計上の注意
- 自社で作るか連携ツールを使うかの判断のしかた
業務アプリと注文サイトをつなぐ方法は?
つなぎ方は3つあります。注文サイト側(BtoB ECのサービス)と業務アプリ側の両方で、その手段が使えることが条件です。
| 方法 | 仕組み | 反映までの時間 | 必要なもの |
|---|---|---|---|
| APIで直接つなぐ | 注文サイトの注文をAPIで取得し、業務アプリのAPIで登録する。Webhook(更新を外へ知らせる仕組み)があれば、注文が入ったときに処理を始められる | 即時〜数分(実行の間隔による) | 両方のAPI、処理を動かす環境、開発と保守の担当 |
| 連携ツール・専用アドオンを使う | 2つのサービスをつなぐ既製のツールで、項目の対応を設定する | ツールの実行間隔による | 両方に対応したツール、ツールの利用料 |
| CSVを受け渡す | 注文サイトから注文をCSVで書き出し、業務アプリに読み込む | 受け渡しの頻度による(1日1〜数回が多い) | 両方のCSV入出力、CSVの項目をそろえる作業 |
注文サイト側の例として、BカートはREST APIと、注文・会員・別配送先の登録と変更を知らせるWebhookを公開しています(Bカート APIドキュメント、Bカート Webhook)。ほかのサービスを検討する場合も、APIとWebhookの有無、CSVで書き出せる項目を最初に販売元へ聞いておきます。サービスごとの違いは受発注システムの比較で扱っています。
業務アプリごとに使える連携の手段は?
よく使われる業務アプリについて、外部とデータをやり取りする手段を各社の公式情報で調べた結果です。
| 業務アプリ | API | Webhook | CSV等のファイル | 確かめておくこと |
|---|---|---|---|---|
| kintone | あり(スタンダードコース以上) | あり(スタンダードコース以上) | Excel・CSVの読み込み・書き出し | ライトコースでは外部連携不可。APIは1アプリ1日1万リクエスト(ワイドコースは10万) |
| Claris FileMaker | Data API・OData | 公式で未確認 | インポート・エクスポート | FileMaker CloudはData API・ODataの送信量が1ユーザー月2GBまで。外部から接続する人のライセンスの扱いは契約条件を販売元に確認 |
| Power Apps(Dataverse) | Web API | あり(Dataverseのサーバーイベントを外部URLへ送信) | Excel・CSV・XMLの取り込み(モデル駆動型アプリ) | 24時間あたりのリクエスト数がライセンスごとに決まっている。連携用のアプリケーションユーザーはテナント共通の枠(Power Appsは基本25,000)を使う |
| 楽楽販売 | WEB-API | 公式で未確認 | CSVの取り込み・出力 | APIの料金と呼び出し回数の上限は提供元に問い合わせる |
| Microsoft Access | 公式で未確認 | 公式で未確認 | インポート・エクスポート(マクロで実行可)、ODBC接続 | 注文サイトとはCSVの受け渡しが基本 |
| Excel(Microsoft 365) | Microsoft Graph の Excel API | 公式で未確認 | CSV | APIで扱えるのはOneDrive for Business・SharePoint上の.xlsxファイル。.xlsと個人用OneDriveは対象外 |
出典:kintone 料金、kintone Webhook、Claris 価格、Power Platform リクエストの制限、Dataverse Webhook、Power Apps データのインポート、楽楽販売 外部連携、Access ImportExportData マクロ、Microsoft Graph Excel API
kintone
kintoneはスタンダードコース(月額1,800円/1ユーザー、最小10ユーザー、税抜)以上でAPIとWebhookを使えます。ライトコース(月額1,000円)では外部サービスとの連携ができないため、注文サイトとつなぐならコースの変更が先になります。APIのリクエスト数は1アプリにつき1日1万回で、注文の件数と、1件の取り込みで何回APIを呼ぶかから足りるかを見積もります。Bカートとつなぐ場合の具体的なツールはBカート×kintone連携で比べています。
APIがない、または使えない業務アプリ
Accessや、ライトコースのkintoneのようにAPIが使えない場合は、CSVの受け渡しで打ち直しをなくします。注文サイトから書き出すCSVの列と、業務アプリが読み込める列の並びをそろえる対応表を作り、書き出しと読み込みを毎日決まった時刻に行います。CSVの操作が手作業で残るのを避けたいなら、アプリのマクロや定期実行の仕組みで自動にできるかを確かめます。
CSVで取り込んだ更新は通知されない
Webhookで連携を作るときに外しやすいのが、通知が飛ばない操作があることです。業務アプリ側と注文サイト側の両方で、公式に次のように書かれています。
| サービス | Webhookが通知されない操作・条件(公式の記載) |
|---|---|
| kintone | Excel・CSVファイルを読み込んでレコードを操作したとき。複数のレコードを一括削除したとき。複数のレコードを一括操作するREST APIを使ったとき。通知はドメイン単位で1分間に60回までで、61回目以降は送られない |
| Bカート | CSVインポートの場合は通知しない。外部決済のステータスの変更は通知しない。配信は常に保証されているわけではなく、同じイベントが複数回送られることがある(リトライは最大5回) |
たとえば、価格改定のときに商品をCSVでまとめて更新すると、その変更はWebhookでは相手に伝わりません。年に一度の一斉更新のように、件数の多い操作ほどCSVや一括操作で行うため、取りこぼしも大きくなります。
対策は3つです。
- 定期的に差分を取りにいく処理を併用する:Webhookは「早く知るため」に使い、1日数回、更新日時で絞って差分を取得する処理で取りこぼしを拾う
- 同じ注文を二度登録しない:Bカートは同じイベントが複数回届くことがあると明記しています。注文番号やイベントIDで、登録済みかを確かめてから登録する
- 一括更新の後に手で同期する手順を決める:CSVで一斉更新したら、連携の差分取得をその場で動かす、と運用の手順に書いておく
正本をどちらに置くか、失敗したときに誰が取り込み直すかといった連携の決めごとは、メール注文を受注登録まで自動化する方法の「社内の業務アプリと注文サイトをつなぐときの決めごと」にまとめています。
自社で作るか、連携ツールを使うか
| 状況 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内に開発と保守の担当がいて、連携先が1つ | APIで自社開発 | 項目の対応を自由に決められる。仕様変更への追従も自社でできる |
| 開発の担当がいない | 専用アドオン・連携ツール | 設定で連携でき、保守を提供元に任せられる |
| 販売管理・会計など連携先が複数 | 複数のサービスに対応した連携ツール | 連携を1か所で管理でき、止まったときの確認先が1つになる |
| APIが使えない、件数が少ない | CSVの受け渡し | 追加の費用がかからず、すぐ始められる |
自社で作る場合は、APIの認証情報の管理、失敗したときの再実行、APIの仕様変更への追従まで担当を決めます。担当者が辞めると連携が止まっても直せなくなるため、作った人以外が読める手順書を残します。
BカートとkintoneならBカートのアプリストアに専用アドオンや連携ツールがあり、Bカート×kintone連携で費用と対応範囲を比べています。HubSpotやSalesforceなど営業系のツールとつなぐ場合はHubSpot×kintone連携も参考になります。
進める順番
- 業務アプリの契約プランで、API・Webhook・CSVの入出力が使えるかを確かめる
- 注文サイトの候補ごとに、APIとWebhookの有無、CSVで書き出せる項目を確かめる
- 商品・取引先・価格・在庫の正本と、注文・マスタを流す向きを決める
- つなぎ方(API・連携ツール・CSV)を決め、通知が飛ばない操作への対策を設計に入れる
- 一部の取引先と商品で、注文から業務アプリへの登録までを試す
- 取り込みの失敗と重複を1か月見て、手直ししてから全取引先に広げる
取引先に注文サイトへ移ってもらう進め方は受発注DXの進め方、依頼先の選び方はBtoB EC構築・移行の相談先で扱っています。
よくある質問
- 社内の業務アプリで受注を管理しています。注文サイトを足して二重入力をなくすには、何から確かめればいいですか。
- 使っている業務アプリと契約プランで、外部とデータをやり取りする手段(API、Webhook、CSVの読み込み)が使えるかを確かめます。たとえばkintoneはスタンダードコース以上でないとAPIとWebhookを使えません。手段が決まったら、商品・取引先・価格の正本をどちらに置くかと、注文を流す向きを決めます。
- APIがない業務アプリでも注文サイトとつなげますか。
- CSVの書き出しと読み込みができれば、注文サイトの注文データをCSVで受け渡せます。手作業の打ち直しはなくなりますが、ファイルを受け渡す操作は残ります。その操作をどこまで自動にするかは、アプリ側で定期実行の仕組みが使えるかで決まります。
- Webhookを使えば、注文や商品の変更は漏れなく伝わりますか。
- 伝わらない操作があります。kintoneはExcel・CSVの読み込みや複数レコードの一括操作では通知せず、BカートもCSVインポートでは通知しないと公式に書いています。Bカートは配信が常に保証されているわけではないとも明記しているため、定期的に差分を取りにいく処理を併用します。
- 連携は自社で作るのと、連携ツールを使うのとどちらがいいですか。
- 社内に開発と保守ができる人がいて、連携先が1つなら自社で作る選択肢があります。担当者がいない、連携先が複数ある場合は、連携ツールや専用アドオンを使うほうが保守の負担が軽くなります。どちらの場合も、取り込みに失敗したときの通知と再取り込みの手順を決めておきます。
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