比較・総論

BtoB EC構築・移行の相談先|4タイプと支援範囲

BtoB EC構築・移行の相談先|4タイプと支援範囲

卸売会社やメーカーが取引先向けの注文サイト(BtoB EC)を作るときの相談先を、主な役割で4タイプに整理します。パッケージやクラウドの提供元、提供元の認定パートナー、EC制作会社・システム開発会社、データ移行の専門会社です。複数の役割を兼ねる会社もあり、移行の専門会社には主に移行の部分を頼みます。

主な確認点は、取引先ごとの価格の持ち方、社内で作業と判断をどう分けるか、今のシステムから移すデータの3つです。相談の前に書き出しておくと、初回の相談で要件を共有しやすくなります。

※受発注総研は、Bカートの構築・運用代行を手がける株式会社Craval(Bカート認定パートナー)が運営しています。

BtoB ECの構築・移行の相談先4タイプ

4タイプは、頼める範囲と向いている会社が違います。

依頼先例頼める範囲向いている会社
提供元に直接Bカート(株式会社Dai)、アラジンEC(株式会社アイル)、EC-Rider B2B II(株式会社フライトソリューションズ)、ecbeing BtoB(株式会社ecbeing)、DEXTRE(One'd Technologies 株式会社)システムの提供と設定。製品によっては追加開発・基幹システムとの連携、導入支援、データ移行まで対応する製品の仕様と実現方法を直接確かめたい会社
提供元の認定パートナー認定・紹介制度がある提供元では公式の一覧から探せる(例:Bカート認定パートナー)初期構築、ページ制作、登録代行、運用支援など。範囲は会社ごとに確かめる使うシステムは決まっていて、作業を任せたい会社
EC制作会社・システム開発会社EC-CUBEなどで構築する制作会社、基幹システムに強いSIer独自の画面や機能の開発、基幹システムとの連携標準機能では足りない業務ルールがある会社
データ移行の専門会社カートの引越し・データ移行を請け負う会社旧システムからのデータの変換と登録構築先は決まっていて、移行作業だけ外に出したい会社
表1:BtoB ECの構築・移行の相談先4タイプ(掲載例は網羅的ではなく、推奨の順位を示すものではありません。2026年10月時点の公式ページによる)

提供元のシステムの違いと費用は、BtoB ECプラットフォーム比較とBtoB EC構築プラットフォーム 料金・コスト実態調査2026にまとめています。

取引先別の価格は「持ち方」で伝える

「取引先ごとに価格を変えたい」だけでは、必要な価格設定に対応できるかを判断できません。システムごとに差が出るのは価格の持ち方です。自社の価格表がどれにあたるかを先に決めてから相談してください。

価格の持ち方例
取引先ごとの一律の掛け率A社は定価の70%、B社は65%
取引先×商品分類ごとの掛け率A社は食品が70%、雑貨が75%
取引先ランクごとの単価ランクSは900円、ランクAは950円
取引先×商品ごとの個別単価商品XはA社に800円、B社に750円
数量・ロットごとの価格10ケース以上は1ケース4,800円
表2:取引先別の価格の持ち方

提供元の公式ページでは、次のように説明されています。

  • Bカート:会員ID別の単価設定。グループ単位か個別で単価を持て、商品グループ別・会員グループ別の掛け率設定もある。価格グループは初期設定で10。追加の条件と費用は要確認(Bカート 機能紹介)
  • アラジンEC:得意先別掛け率単価、得意先別商品分類別掛け率単価、得意先ランク別単価、得意先別商品別単価に対応(アラジンEC)
  • EC-Rider B2B II:商品SKUごと・法人ごとの販売価格と、ランク別の割引率設定(EC-Rider B2B II)
  • ecbeing BtoB:得意先別の販売価格設定と、得意先ごとの商品表示の出し分け(ecbeing BtoB)

基本は掛け率で、一部の商品だけ契約単価、という例外があるなら、その例外の件数も数えておきます。例外が多いほど、標準機能で持てるか、CSVで一括更新できるかの確認が大事になります。

IT担当者がいない会社が頼む範囲

社内にIT担当者がいなくても導入はできます。外に頼む作業と、社内に残す判断を分けて考えます。

作業外に頼めるか社内で決めること
商品マスタの整備と商品登録頼める品番・規格・入数の正しい値
取引先と価格の登録頼める取引先ごとの価格と取引条件(締め日・支払方法・最低注文数)
デザイン・ページ制作頼める載せる情報と画像
取引先への案内と操作説明一部頼めるどの取引先から、いつ切り替えるか
運用開始後の問い合わせ対応依頼先による社内の受付窓口
表3:外に頼める作業と社内で決めること

初期登録や社内の担当者向けの研修を有償で用意している提供元もあります。取引先への案内や操作説明の代行は、対応できるかを別に確かめてください。EC-Rider B2B IIは、商品マスタ・取引先マスタの初期登録支援と管理者向けの操作研修を有償で用意しています。DEXTREは、取引先・製品などの登録を含む初期設定代行を別料金で受けています(DEXTRE)。

社内では、取りまとめの担当と、価格・取引条件の承認者を決めてください。登録作業は外に出せても、「この取引先にいくらで売るか」の決定権限と承認の経路は、社内で明確にしてください。

今の注文サイトから移すときの手順

別のシステムへ移すときは、構築より先に「何を移すか」を決めます。

移すデータ注意点
取引先(会社・担当者・配送先)1社に複数の担当者や配送先があるか
ログインID・パスワードパスワードはシステムの仕様で移せない場合があり、そのときは取引先に再設定を案内する
商品品番・規格・画像・表示する取引先の範囲
価格表2の持ち方のどれか。持ち方が旧システムと違えば変換が要る
取引条件掛け払いの可否、締め日、送料のルール
注文履歴新システムに移す、旧システムの参照契約を残す、検索できる形式で書き出して保管する、のどれにするか
表4:移行で移すデータと注意点

手順は次のとおりです。

  1. 旧システムからデータを書き出す(CSVで出せる項目を確かめる)
  2. 旧システムと新システムの項目の対応表を作る
  3. 一部の取引先と商品でテスト移行する
  4. 価格を照合する。移した価格データの件数と値を突き合わせ、掛け率と個別単価の優先順位、数量の境目、単位、税と端数の処理まで、例外を含めた注文テストで確かめる
  5. 切り替えの段取りを決める。旧サイトの受注を止める時刻、最初の書き出し後に増えた注文や変わった価格の取り込み方、処理中の注文の引き継ぎ先、うまくいかないときに旧サイトへ戻す条件
  6. 本番の移行と切り替え日を決め、取引先にログイン方法の変更を案内する
  7. 切り替え後しばらくは、旧システムの注文や問い合わせが来たときの受け方を決めておく

提供元によっては移行支援を用意しています。EC-Rider B2B IIは、既存システムからの商品・取引先・注文履歴データの移行を有償の支援として明記しています。Bカートは、データの移行・引越しをオプションとして案内しており、内容は個別相談です(Bカート オプション)。

見積もりで確かめる5点

  1. 作業の範囲:商品登録、取引先と価格の登録、デザイン、取引先への案内のどこまで含むか
  2. 費用の内訳:初期費用、月額、移行・登録作業、追加開発、保守を分けて出してもらう
  3. 価格の照合テスト:移行した価格が合っているかの確認を、誰がどこまでするか
  4. 工程表:テスト移行、照合、取引先への案内、切り替えの日付
  5. 切り替え後の窓口:運用開始後の問い合わせを誰が受けるか、追加費用はかかるか

月額の表示は提供元ごとに、プランの上限(商品数・取引先数)、契約期間、税の扱い、提供形態が違います。初期費用が個別見積もりの場合もあるため、同じ要件と利用期間で3年間の総額を比べてください。各社の料金表示の条件は料金・コスト実態調査2026で整理しています。

問い合わせ文の例

次の文に自社の数字を入れて送ると、対応できるかどうかと概算が返ってきやすくなります。

卸売会社です。取引先向けの注文サイトの構築(または、今の注文サイト〇〇からの移行)を検討しています。取引先は約〇社、商品は約〇点です。価格は取引先ごとの掛け率が基本で、一部の商品だけ取引先別の単価があります(約〇件)。社内にIT担当者がいないため、商品登録、取引先と価格の登録、取引先への操作案内まで依頼したいです。対応できる範囲と概算の費用、工程表の例を教えてください。

FAXや電話の注文から初めてWebに移す場合は、取引先への案内の進め方も合わせて相談します。進め方はFAX受注から脱却する手順と受発注DXの進め方にまとめています。

まとめ

相談の前に、価格の持ち方、社内で作業と判断をどう分けるか、移すデータの3つを書き出します。見積もりでは、作業範囲、費用の内訳、価格の照合テスト、工程表、切り替え後の窓口の5点を確かめてください。

よくある質問

取引先ごとに価格を変えられるBtoB ECは、どこに相談すればいいですか。
Bカート、アラジンEC、EC-Rider B2B II、ecbeing BtoBなどの提供元に直接相談するか、提供元の認定パートナー・EC制作会社に相談します。掛け率だけか、取引先×商品ごとの単価もあるかを先に整理して伝えると、対応できるかを確かめやすくなります。
社内にIT担当者がいなくても導入できますか。
商品登録や取引先・価格の登録を頼める依頼先を選べば進められます。EC-Rider B2B IIは初期登録支援と管理者向け操作研修を有償で提供しています。DEXTREは取引先・製品などの初期設定代行を別料金で提供しています。取引先への案内・操作説明の代行は、別に対応できるかを確かめてください。社内では、取りまとめの担当と、価格・取引条件の承認者を決めておきます。
今の注文サイトから別のシステムに移すとき、取引先別の価格も移せますか。
移せるかは、旧システムから書き出せる範囲と、移行先で同じ価格ルールを再現できるかによります。持ち方が違えば、変換と照合の作業が要ります。見積もりの段階で、取引先×商品の単価、掛け率、数量別価格のどれを移すかを明記し、価格の照合テストまで範囲に含めてもらってください。
移行にはどのくらいの期間がかかりますか。
取引先数、商品数、価格の持ち方、連携するシステムで変わり、一律の目安はありません。テスト移行と価格の照合、取引先への再ログインの案内の期間を含めて、依頼先に工程表を出してもらってください。

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