FAX受注から脱却する手順|取引先の移行と費用
2026.10.02
FAX受注とは、取引先がFAXで送ってくる注文書を、受注担当が自社のシステムに手入力して受け付ける方式です。毎朝届くFAXの入力と読み間違いの確認に追われながら、取引先にやめてもらうのは難しいと最初からあきらめている会社も少なくありません。
FAX受注からの脱却は、方式の選定 → 取引先への案内 → 並行期間 → FAX受付の終了の4段階で進めます。多くの卸・メーカーには、取引先が自分で注文を入力するWeb受注が合います。取引先には一律に切り替えを求めず、注文の多い取引先から順に案内し、数か月の並行期間を置くのが現実的です。
※受発注総研は、Bカートの構築・運用代行を手がける株式会社Cravalが運営しています。
FAX受注から脱却する4つの手順
手順は次の4つです。
取引先ごとのFAX件数と1件あたりの入力時間を、1か月分数える
上位の数社で注文の大半を占めていることが多く、案内する順番が決まる
OCR・EDI・Web受注から、取引先の数と注文の形に合う方式を選ぶ(次の章で比較)
取引先に新しい注文方法を案内し、FAXとWeb受注の両方を受け付ける並行期間を設ける
Web受注に移った取引先の割合を見ながら、FAX受付の終了日を決めて伝える
Web受注のクラウドサービスを使う場合、契約から取引先への公開までは、商品数と価格設定の複雑さによって変わりますが、数週間から数か月が目安です。時間がかかるのは、システムの設定よりも、商品マスタと取引先ごとの価格の整理です。
OCR・EDI・Web受注の違いと選び方
FAXを使い続けたい取引先が多いならOCR、大手とまとまった量の取引があるならEDI、中小の取引先が多数あるならWeb受注が向いています。
| 方式 | しくみ | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| FAX-OCR | 届いたFAXを読み取り、文字をデータにする | 取引先にやり方を変えてもらうのが難しい会社 | FAXそのものは残る。手書きの読み取り精度の確認が必要 |
| EDI | 取引先のシステムと注文データを直接やり取りする | 大手の取引先とまとまった量の取引がある会社 | 大手側の仕様に合わせる必要があり、自社主導で取引先全体には広げにくい |
| Web受注(BtoB EC) | 取引先が専用サイトにログインして注文する | 中小の取引先が多数ある卸・メーカー | 取引先にログインと操作を覚えてもらう必要がある |
OCRは入力の手間を減らせますが、FAXでの注文は続きます。読み取り結果の確認作業も残るため、「FAX受注をやめる」というより「FAX受注を楽にする」方法です。
EDIは、大手の小売や商社との取引で使われることが多く、取引先側の仕様に合わせる必要があります。中小の取引先が数十〜数百社ある場合は、取引先が自分で注文するWeb受注のほうが進めやすくなります。Web受注の代表的なクラウドサービスについてはBカートとはで詳しく解説しています。
FAXを使い続けたい取引先への案内のしかた
FAX受注からの脱却でいちばん不安が大きいのは、取引先の反応です。一斉に「来月からFAXは受け付けません」と伝えると、反発や注文の取りこぼしにつながりやすくなります。次の進め方なら、取引先の負担を抑えられます。
- 注文の多い取引先から順に案内する。上位の取引先がWeb受注に移るだけで、手入力は大きく減る
- FAXとWeb受注の両方を受け付ける並行期間を、数か月単位で設ける
- 最初の1回は、電話をつなぎながらログインと注文の操作を一緒に進める
- 並行期間の終わりに、FAX受付の終了日を決めて文書で伝える
案内文は、取引先にとっての利点を先に書くと受け入れられやすくなります。
案内文の例
いつもお取引いただき、ありがとうございます。
このたび、24時間いつでもご注文いただける専用の発注サイトを開設しました。
貴社専用の価格がログイン後に表示され、過去のご注文から再発注もできます。
当面はFAXでのご注文も引き続き承ります。
ログイン情報と操作方法は別紙をご覧ください。ご不明な点はお電話でご案内します。
掛け払いと取引先別価格もWebで扱える
BtoBの取引では、取引先ごとに価格や掛率が違い、支払いは月末締めの掛け払いが一般的です。FAX受注をやめられない理由として「うちは取引先ごとに価格が違うから」という声を聞きますが、BtoB向けのWeb受注サービスはこの前提で作られています。
たとえばBカートでは、取引先(会員)ごとに卸単価や掛率を設定でき、ログインすると、その取引先向けの価格が自動で表示されます。支払いは掛け払いに対応しており、請求書の発行や入金管理を任せられる請求代行のしくみもあります。Bカートを提供する株式会社Daiの発表によると、マネーフォワード ケッサイと協業した「Bカート掛け払い」は2023年9月に提供が始まり、2026年7月時点で全プラン合計の累計導入200社・累計流通総額70億円を突破しています(Bカート公式のお知らせ)。詳しくはBカートの掛け払いにまとめています。
費用と期間の目安
Web受注のクラウドサービスは、初期費用と月額料金で使えます。Bカートの場合、初期費用は80,000円、月額は9,800円からです(税別・2026年7月時点の公式料金)。プランは扱う商品数と取引先数で変わります。
当社が主要9社の公式料金ページを2026年8月に調べたところ、初期費用と月額をともに公開していたのは9社中3社だけでした。公開料金をもとに、商品1,000点・取引先1,000社・3年間という前提をそろえた机上比較では、総費用はBカートの約79万円から、Shopify Plusの約1,433万円まで、約18倍の差がありました。調査の詳細はBtoB EC構築プラットフォーム 料金・コスト実態調査2026で公開しています。ほかの方式を含めた相場は受発注システムの費用相場を参照してください。
商品登録や価格設定を社内で進める時間がない場合は、構築を外部に任せる方法もあります。当社(株式会社Craval・受発注総研の運営元)は、Bカート公式の認定パートナー(コンサルティングパートナー)として、BtoB専用ECサイトの構築と運用を代行しています。
FAXで受けた注文書の保存ルール
紙で受けたFAXは紙のまま保存でき、紙に出力せずデータとして受けたFAXはデータのまま保存します。国税庁の電子帳簿保存法の解説では、FAXの扱いは受け取り方によって次のように分かれます。
- 紙に印刷して受け取るFAXは、書面での取引として扱われ、紙のまま保存できる(スキャナ保存も選べる)
- 複合機などで、紙に出力することなくデータとして受信・保存する場合(いわゆるペーパーレスFAX)は電子取引に当たり、電子帳簿保存法の要件に沿ってデータのまま保存する
Web受注に移れば、注文はデータとして残る形に変わります。保存の要件は利用するサービスと自社の運用によって変わるため、詳しくは国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】で確認してください。
移行でつまずきやすい点
FAX受注からの脱却が途中で止まる原因は、システムそのものより、準備の段階にあることが多くあります。
- 商品マスタが整っていない。品番・商品名・単位が社内でばらばらだと、Web受注の画面を作れないので、CSVで一括登録する前に表計算ソフトで整理しておく(BカートのCSV一括登録)
- 取引先ごとの価格を洗い出していない。担当者の頭の中にしかない特別価格があると、公開後に問い合わせが集中する
- 社内の受注フローを変えていない。Web受注の注文を別のシステムに手入力し直していては効果が出ないため、在庫や出荷の流れも合わせて見直す
- 並行期間の終わりを決めていない。終了日がないと、FAXとWebの二重管理が続く
まとめ
まず取引先ごとのFAX件数を1か月分数え、上位の取引先から案内を始めてください。取引先別の価格や掛け払いもWeb受注で扱えるため、「うちは取引先ごとに条件が違う」はFAXを続ける理由になりません。
Bカートの機能と料金はBカート公式サイトで確認できます。商品登録や取引先への案内まで含めて任せたい場合は、当社(株式会社Craval)のお問い合わせ窓口からご相談ください。
よくある質問
- FAXの受注をやめるには何から始めればいいですか。
- 1か月分のFAX注文を、取引先ごとの件数で数えるところから始めます。件数の多い取引先から順にWeb受注へ案内すると、少ない手間で手入力を大きく減らせます。
- 取引先がFAXをやめてくれない場合はどうすればいいですか。
- FAXとWeb受注の両方を受け付ける並行期間を置き、最初の注文は電話で一緒に操作します。並行期間の終わりに、FAX受付の終了日を文書で伝えます。
- FAX受注をWeb化する費用はいくらですか。
- Bカートの場合、初期費用80,000円・月額9,800円から(税別)です。当社が公開料金をもとに試算した結果では、商品1,000点・取引先1,000社・3年間の総費用は約79万円でした。
- FAXで受けた注文書は電子保存しないといけませんか。
- 紙に印刷して受け取ったFAXは、紙のまま保存できます。複合機などで紙に出力せずデータとして受信・保存する場合は電子取引に当たるため、データのまま保存します。
FAX受注のWeb化・Bカート構築のご相談
当社(株式会社Craval)はBカート公式の認定パートナーとして、商品マスタの整理から取引先への案内まで、BtoB専用ECサイトの構築と運用を代行しています。FAX受注からの移行計画づくりからご相談いただけます。
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