比較・総論

BtoB ECのメリット7つ|業務削減と売上拡大の根拠

BtoB ECのメリット7つ|業務削減と売上拡大の根拠

BtoB ECを入れたほうがいいのは分かるが、実際に何が変わるのか、本当に費用対効果が合うのかが見えない。営業担当の説得材料も欲しい。そういう段階の方が読む前提で、効果と落とし穴を整理する。

経済産業省『令和6年度 電子商取引に関する市場調査』によると、2024年の日本のBtoB-EC市場規模は514.4兆円、EC化率は43.1%である。中堅・中小の波及はこれから本格化する局面にあり、競合より一歩先に環境を整える価値は十分にある。本記事では実務で確認できているメリット7つと、見落としやすい落とし穴を併せて示す。

BtoB EC市場規模とEC化率の推移(2019年〜2023年、経済産業省データ)。5年間で市場規模は約1.3倍、EC化率は8.3ポイント上昇。
図1. BtoB EC市場規模とEC化率の推移(2019年〜2023年。出典: 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」各年度版を基に作成。2024年は514.4兆円・43.1%〈令和6年度調査〉)

BtoB ECとは何か(30秒で押さえる)

BtoB ECは、企業間の受発注をWebサイトで完結させる仕組み。電話・FAX・メールでやりとりしていた発注書を、取引先がブラウザから入力する。一般消費者向けのECとの違いは、掛け払い・取引先別の卸価格・最低注文数量・承認フローなど、企業取引固有の機能が必要になる点だ。

具体的には、Bカート・アラジンEC・スマレジEC・B2B(旧楽楽B2B)・ecbeing などのBtoB特化型プラットフォームを使う。BtoC向けのShopifyや楽天市場を検討する場合は、後述するBtoB固有機能への対応を製品・プランごとに確認する必要がある。詳細はBtoB ECサイトの比較で確認できる。

補足: BtoB ECとEDIの違い

EDIは大企業間の専用線データ連携、BtoB ECはWebブラウザ経由の汎用受発注プラットフォーム。中堅・中小事業者の場合はEDI導入は重く、まずBtoB ECで運用を立ち上げ、必要に応じてEDI連携を追加していくのが現実的なステップだ。

受発注業務の工数を削減できる

最大のメリットは受発注業務の工数削減だ。電話・FAX・メールで来た注文は、社内の販売管理システムに人手で転記する必要がある。転記作業は注文件数に比例して工数が増える。アイルが2020年に712社を対象に行った調査では、EC化した企業の約8割が1人1日あたり1〜2時間以上の業務を短縮している。

BtoB ECなら取引先が注文を直接入力するため、受注情報の転記を減らせる。販売管理などへの再入力もなくすには、kintone・freee・販売管理ソフトとの連携範囲と例外処理の設計が必要だ。Bカートは公開APIとアプリストアを備えており、外部システムと受注データを連携できる。連携の具体例はBカート×kintone連携で解説している。

24時間365日の受注で機会損失を減らせる

FAXは営業時間外にも受信できるが、内容確認や入力は担当者の稼働時間に依存する。電話は営業時間内しか受け付けられない。取引先の発注担当者が夜にしか作業時間を取れない、土日も稼働している現場(飲食店・小売店)が顧客に多い、海外取引先の時差がある、といった事業者ほど機会損失が大きい。

BtoB ECでは注文データを24時間直接受け付けられる。発注担当者が朝出社前にスマホから注文を入れられる、深夜の在庫切れに気づいてすぐ補充発注を出せる。営業時間外の注文入力や、土日明けの翌営業日にまとめて発生する転記の負担も減らせる。

「電話で確認しないと注文できない」状態は、取引先にとって心理的ハードルになる。発注のしやすさは取引継続率にも影響するため、競合より自社のほうが発注しやすいという状態は、価格交渉以前の競争力になる。

既存取引のリピート発注を促せる

BtoB ECでは、既存取引先の再発注をしやすくすることで、発注頻度や購入品目の増加につながる可能性がある。効く経路は3つある。

  1. 発注頻度の上昇。電話・FAXのときは月1回まとめて発注していたものが、必要に応じて週次・隔日に分割される。在庫スペースが限られる小売店・飲食店ほど、小口頻回発注を歓迎する。
  2. 購入品目の拡大。商品カタログがWebで一覧できるため、これまで取り扱っていない商品にも目が留まる。Bカートのレコメンド(おすすめ)機能では、おすすめ商品や商品ごとの関連商品を表示できる。
  3. 欠品時の代替提案。在庫切れの商品ページで類似品をレコメンドする設定にしておくと、機械的に代替購入を促せる。電話受注のときは代替提案ができずに失注していた取引が、ECなら拾える可能性がある。

この3要素が積み上がれば、新規開拓とは別に既存取引の売上を伸ばす余地が生まれる。

取引先別価格・承認制をシステムで自動化

BtoB取引は得意先ごとに価格が違う、特定取引先には承認フローを通す必要がある、最低注文数量が顧客ランクで変わる、といった個別ルールが多い。これを人手で管理すると、価格の伝達ミスや承認漏れが必ず発生する。

取引先別価格や承認フローへの対応は、製品によって標準機能、有料オプション、追加開発に分かれる。たとえばBカートは会員(価格)グループ別の掛率設定や会員ID別の単価設定を備え、スマレジEC・B2B(旧楽楽B2B)はオプションで複数階層の承認フローを提供し、アラジンECは販売管理アラジンオフィスとの連携で個別契約条件を反映できる。必要な機能の提供条件は個別に確認してほしい。

決済面では、掛け払い決済(NP掛け払い・Paid・クロネコ掛け払い)のように、与信審査・請求書発行・入金管理・督促を代行する企業間後払いサービスがある。掛け払い・取引先別価格・承認制をどの範囲で標準機能・オプション・追加開発で実現するかは、BtoC型・BtoB特化型を問わず製品とプランごとに確認する。

受注データを営業活動に転用できる

電話・FAX受注の決定的な弱点は、データが構造化されないこと。誰が何をいつどれだけ買ったかを後から分析しようとしても、紙の発注書や音声記録から拾うのは現実的でない。

BtoB ECならすべての受注がデータベースに蓄積される。取引先別の購買傾向、季節変動、商品カテゴリ別の売上推移、休眠取引先の特定など、営業判断に必要な情報がすぐ出る。kintone連携を組めば、営業担当が普段使うCRMから商談前に受注履歴を確認できる。

3ヶ月発注がない取引先に自動でフォローメールを送る、購入頻度が落ちている商品の取引先にキャンペーンを打つ、といったマーケティングオートメーションの仕掛けも、受注データがあって初めて成立する。電話・FAX時代には不可能だった営業の打ち手が一気に増える。

営業担当の余力を新規開拓に回せる

既存取引の電話・FAX応対に営業時間を取られている、という相談はよく受ける。受注処理は本来営業の仕事ではないが、現実には営業担当が電話を受けて販売管理に入力するまでの全工程を担っていることが多い。

BtoB ECを入れて既存取引をEC受注に切り替えると、営業担当の時間が一気に空く。空いた時間を新規開拓・商談・既存取引の上位提案に回せる。営業人数を増やさずに事業を拡大できるため、人件費を抑えながら成長したい中堅事業者にとって意味が大きい。

導入時のハードルは、既存取引先に「これからECで発注してください」と切り替えてもらう運用面の調整だ。LINE通知や紙マニュアルを併用すれば、ITに不慣れな取引先の移行も進めやすい。

新規取引先の獲得チャネルになる

BtoB ECは既存取引の効率化が主目的だが、新規顧客獲得の効果も無視できない。検索エンジン経由で「○○ 卸 仕入れ」「○○ 業務用 通販」のような検索から自社ECに流入し、そのまま発注に至るケースが増えている。

BtoB ECサイトをSEO対策された状態で公開しておくと、相見積もりや問い合わせフェーズを経由せず、初回購入まで直接つながる。スーパーデリバリーのような卸・仕入れサイトに出店すれば、新規開拓の母数も増やせる。

展示会・電話営業・代理店経由の伝統的な新規開拓と並行して、Web経由の新規流入を作っておくと、景気変動や担当者退職のリスク分散になる。営業組織として持つチャネルが多いほど、事業の安定性は上がる。

見落としがちな導入時の落とし穴

メリットだけ書くと宣伝記事になるため、現場で実際にハマる落とし穴も3つ示しておく。

注意: BtoC型プラットフォームの流用は要確認

Shopify・楽天市場・カラーミーショップなどBtoC向けサービスを検討する場合も、掛け払い、取引先別価格、承認、最低注文数量への対応を製品・プランごとに確認する。必要な追加機能と運用費を含めて、BtoB向けサービスと比較してほしい。

取引先のITリテラシー差。発注担当者が高齢で電話・FAXに慣れている取引先には、ECを使ってもらうハードルが高い。導入初期は紙マニュアル配布・電話サポート併用・営業担当の操作代行など、移行支援に予算と時間を割く必要がある。構築期間と取引先の移行期間は、商品数・取引先数・連携範囲で変わる。電話・FAXからの切り替えは段階的に進むものとして計画する。

基幹システムとの連携不足。EC側でいくら受注を取れても、販売管理・会計・在庫管理との連携ができていなければ、結局二重入力が発生する。導入前に必ずkintoneや販売管理ソフトとの連携設計を確定させること。後から組み込もうとすると手戻りが発生する。

よくある失敗パターン

「とりあえず安いASPで試して、効果が出たら本格導入する」という方針で、BtoC型を1年使った後にBtoB特化型へリプレイスするケース。データ移行・取引先の再案内・基幹連携のやり直しで、余分なコストがかかる。試験導入は同じBtoB特化型の最低限プランで行う。

自社に向くかを判断する3つの軸

最後に、自社にBtoB ECが向くかどうかの判断軸を3つ整理する。

  1. 月商規模。初期費用と月額費用に対して、受注業務の削減時間と売上増で回収できるかを試算する。Bカートなら初期費用8万円・月額9,800円〜(いずれも税別)で始められる。
  2. 取引先数と発注頻度。固定取引先が多く受注件数が多い事業者ほど、EC化の優先度は高い。
  3. 業務改善の本気度。EC導入だけで業務は変わらない。社内の受注フロー、営業担当の役割分担、取引先への移行案内、基幹システム連携の設計まで、業務全体の見直しがセットで必要になる。経営層の本気度と現場の協力が揃わない限り、ツールを入れただけで終わる。導入前にプロジェクトオーナーを明確にしておくことが、成否の半分を決める。

判断材料として、株式会社Daiが運営するBカート公式サイトや経済産業省の電子商取引に関する市場調査に目を通すと、業界の動向と費用感が把握できる。

よくある質問

BtoB ECを入れると本当に売上は上がりますか

既存取引先の発注頻度や購入品目が増えることで、売上増につながる可能性があります。効果は取引先数や商材によって異なります。

小規模事業者でも導入する意味はありますか

初期費用と月額費用に対して、受注業務の削減時間と売上増で回収できるかを試算して判断します。固定取引先が多く受注件数が多い事業者ほど、EC化の優先度は高くなります。Bカートなら初期費用8万円・月額9,800円〜(いずれも税別)で始められます。

電話・FAX受注はゼロにできますか

完全ゼロは現実的ではありません。高齢の取引先や緊急案件は電話が残ります。新規取引や定常発注をECに集約し、電話は例外対応に絞る運用が現実的です。

BtoCのECサイトをBtoB用に流用できますか

掛け払い、取引先別価格、承認制などBtoB固有機能がBtoC型には欠けています。流用すると後で改修費用が大きく膨らむため、最初からBtoB特化型を選んでください。

導入から効果が出るまでどのくらいかかりますか

構築期間と取引先の移行期間は、商品数・取引先数・連携範囲で変わります。電話・FAXからの切り替えは段階的に進むものとして計画してください。

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