SalesforceとHubSpotの連携|公式連携と運用設計
2026.06.02
SalesforceとHubSpotは、それぞれBtoB営業の代表的なCRMとMarketing Automationです。両者を連携することでマーケと営業のシームレスな情報共有が実現でき、リード獲得から商談化までの全プロセスを可視化できます。一方で「両ツールがどう違うのか」「公式連携で何ができるのか」「双方向同期の競合をどう解決するか」という設計上の論点も多い領域です。
結論から言うと、Salesforce×HubSpotにはHubSpot公式の「Salesforce Integration」があり、まずこの公式コネクタの対応範囲を確認するのが出発点です。本記事では4つの連携方法、公式コネクタの設定手順、同期データ、料金、双方向同期の競合解決、ユースケース、運用注意点までを実務担当者の視点で整理します。マーケ・営業・情報システム担当者向けの内容です。
Salesforce×HubSpot連携の全体像
連携の主な目的は、マーケティング活動(HubSpot)と営業活動(Salesforce)の一気通貫な可視化です。両者が分離していると「リードを渡したらブラックボックスになる」「マーケ施策の効果が分からない」といった問題が起きます。
HubSpotの主な役割
マーケティング・初期コンタクト
- Webフォーム・LP・ブログ
- メール配信・スコアリング
- 初期リード育成
Salesforceの主な役割
営業活動・商談管理
- 商談(Opportunity)管理
- 商談ステージ・予測売上
- カスタム業務プロセス
連携で実現すること
マーケ→営業→顧客のシームレス連動
- リード成熟度を営業に共有
- マーケ施策のROI測定
- 取りこぼし削減
連携設計の出発点は「マーケ vs 営業」の役割分担を明確にすることです。両ツールが同じ機能を持つ部分(コンタクト管理など)でどちらをマスタにするかの設計が、運用の成否を分けます。
4つの連携方法
Salesforce×HubSpotを連携する方法は4種類あります。まず公式コネクタ(HubSpot Salesforce Integration)の対応範囲を確認し、同期対象、競合時の扱い、監視、費用、既存の運用基盤を比較して、iPaaSや個別開発を含めて選びます。
| 方法 | コスト | 機能 |
|---|---|---|
| HubSpot公式コネクタ | HubSpot対象契約で利用(Salesforce側の対応エディション・APIアクセスを確認) | 双方向同期・フィールドルール・履歴 |
| iPaaS(Zapier・Make) | プラン・タスク数による | シンプルな片方向トリガー連携 |
| iPaaS(Workato・MuleSoft) | 個別見積 | 複雑な分岐・大規模対応 |
| スクラッチ実装 | 開発範囲による個別見積 | 独自要件をフル対応 |
まずHubSpot公式コネクタで要件を満たせるかを確認します。公式コネクタは双方向同期・フィールドルール・履歴をまとめて扱えます。そのうえで、同期対象、競合時の扱い、監視、費用、既存の運用基盤を比較し、iPaaSや個別開発も含めて選びます。
HubSpot公式コネクタの導入手順
HubSpot公式コネクタは、HubSpotの対象ProfessionalまたはEnterprise契約で利用できます。対象製品・契約は導入時点の公式ヘルプで確認してください。Salesforce側の管理者権限も必要です。
前提条件の確認
HubSpotの対象Professional/Enterprise契約、Salesforceライセンス、両方の管理者権限
HubSpot側で連携開始
設定 > 連携 > Salesforce > Install
Salesforceへの認可
OAuth認可画面でSalesforce管理者が承認
同期オブジェクト選択
Contact・Account・Opportunity・Task等から必要なものを選択
フィールドマッピング
HubSpotプロパティとSalesforceフィールドを対応付け
同期ルール設定
フィールドごとの同期方向、リード対象条件等
テスト・初期同期
テストデータで動作確認→既存データの初期同期実行
運用開始・監視
同期エラー監視を有効化、定期レビューの体制構築
初期同期は既存データ量によって数時間〜数日かかります。本格運用前に既存データのクレンジング(重複削除・項目正規化)を済ませておくと、連携後のトラブルを減らせます。
同期できるオブジェクトとフィールド
HubSpot公式コネクタが対応する主要オブジェクトとマッピング例です。標準オブジェクトの同期対象と制約を確認したうえで設定してください。カスタムオブジェクト同期はHubSpot Enterprise契約が必要です。
| HubSpot | Salesforce | マッピング例 | 方向 |
|---|---|---|---|
| Contact | Lead / Contact | Email→Email、Phone→Phone | 双方向 |
| Company | Account | Name→Name、Domain→Website | 双方向 |
| Deal | Opportunity | Name、Amount、Stage、Close Date | 双方向 |
| Task | Task | Subject、Activity Date、Status | 双方向 |
| Email/Meeting | Activity | Type、Date、Description | HubSpot→SF |
| Custom Object | Custom Object | 任意設定(Enterpriseのみ) | 双方向 |
マッピング設計の落とし穴は「Salesforceの Lead と HubSpotの Contact の関係」です。Salesforceでは Lead と Contact が別オブジェクトですが、HubSpotには Lead 概念がなく Contact 一本です。連携時には「Salesforceで Lead → Contact 変換した時にHubSpotにどう反映するか」を設計する必要があります。標準では「Lead → Contact 変換時に HubSpot Contact プロパティを自動更新」する形になります。
料金とライセンス要件
連携を有効化するために必要なライセンス要件を整理します。
| 項目 | 要件・料金 |
|---|---|
| HubSpot側の対象契約 | Marketing・Sales・Service・Data・Content・Smart CRMの各Professional/Enterprise |
| カスタムオブジェクト同期 | HubSpot Enterprise契約が必要 |
| Salesforce側 | 別途ライセンスが必要(Pro Suiteは年契約で月額12,000円/ユーザー) |
公式連携の利用には、HubSpotの対象契約に加え、Salesforce側の対応エディションと必要なAPIアクセスを確認してください。追加契約やオプション費用の有無も含めて見積もります。コストの大部分は両ツールのライセンス本体です。HubSpotとSalesforceの料金体系は改定されるため、HubSpot公式料金とSalesforce公式料金で最新の契約内容を確認してください。
双方向同期の競合解決設計
HubSpot公式コネクタの双方向同期は強力ですが、同じレコードを両側で更新したときの競合解決をどう設計するかが運用の鍵です。
Q:競合をどう解決する?
マーケ系プロパティ(リードスコア・流入経路)
→ HubSpot優先(営業は更新不可)
営業系プロパティ(商談ステージ・契約金額)
→ Salesforce優先(マーケは更新不可)
共通プロパティ(電話・メアド)
→ 双方向(Two-way)。対象は限定する
カスタムフィールド
→ 用途に応じて個別設計
HubSpot公式コネクタでは、競合はフィールド単位で同期方向を設定します。選べるのは「Two-way(双方向)」「Always use Salesforce」「Always use HubSpot」で、一律の後勝ちルールではありません。重要項目は「Salesforceを常に使用」または「HubSpotを常に使用」を選び、双方向同期の対象を限定してください。こうしたフィールド単位の方向設定はZapier等のiPaaSでは実現しにくく、フィールド単位の競合解決が必要なら公式コネクタの設定から検討します。
よくあるユースケース
実際に多く採用されているSalesforce×HubSpot連携のユースケースを4パターン紹介します。
パターンA:MQL→SQL移行
マーケ→営業の引き渡し
- HubSpotでスコア閾値超え
- Salesforceに自動でLead作成
- 営業が即フォロー
パターンB:商談進捗共有
営業→マーケへの状況共有
- SalesforceでDeal Stage更新
- HubSpotに同期
- マーケがリスト除外/補追施策
パターンC:マーケ活動の可視化
HubSpot活動→SF活動履歴
- メール開封・LP閲覧
- SF Activity Timelineに自動記録
- 営業が顧客状況を把握
パターンD:受注フィードバック
SF受注→HubSpotレポート
- SFで Opportunity 受注
- HubSpotにClosed-Won反映
- マーケ施策ROI算出可能
新規導入時はパターンA(MQL→SQL)から始めるのが標準的です。マーケと営業の連携の出発点であり、効果が見えやすいため。慣れたあとに B/C/D を順次追加していく流れが現実的です。
運用上の注意点
連携を本番運用する際の主要な注意点を整理します。
| 注意点 | 典型的な問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 同期上限 | Salesforce API利用上限(エディション・APIアクセス・ライセンス数で変動) | 組織上限を設定画面と公式ドキュメントで確認し、同期頻度・対象範囲を絞る |
| Lead/Contact 分離 | Salesforce特有概念の扱い | 変換ルールを明文化 |
| 削除データ | 片側削除がもう片側に反映されない | 論理削除フラグで運用統一 |
| 大量初期同期 | 初回数日かかる・サポート負荷 | 事前にクレンジング、夜間バッチ |
| カスタムオブジェクト | Enterpriseのみ・要件複雑 | 必要性を慎重に検討 |
| ユーザー権限 | 連携設定変更が現場で許可されてしまう | 管理者のみ変更可能に設定 |
HubSpot連携シリーズの他記事として HubSpot×kintone連携ガイド もご覧ください。BtoB EC側との連携全般は BtoB ECサイト比較 も併せて参考になります。HubSpot公式情報は HubSpot Salesforce連携公式 および HubSpot Developers で最新仕様を確認できます。
よくある質問
- SalesforceとHubSpotは標準で連携できますか?
- はい、HubSpot公式の「Salesforce Integration」が提供されています。HubSpotの対象ProfessionalまたはEnterprise契約で利用できます。対象製品・契約は導入時点の公式ヘルプで確認してください。設定はHubSpot管理画面から行い、ノーコードで双方向同期が可能です。
- HubSpotとSalesforceで何を同期できますか?
- コンタクト・企業・取引(Deal/Opportunity)・活動などが主要な同期対象です。カスタムオブジェクトの同期にはHubSpot Enterprise契約が必要です。リード(Lead)→コンタクトの変換も自動化可能。HubSpot側のマーケティング施策(メール開封・フォーム入力・Webサイト訪問)→Salesforce側に活動記録として自動連携できるのが大きな強みです。
- Salesforce HubSpot連携の料金は?
- HubSpot側は対象のProfessionalまたはEnterprise契約で公式連携を利用できます。Salesforce側は別途ライセンスが必要で、Pro Suiteは年契約で月額12,000円/ユーザーです。HubSpotとSalesforceの料金体系は改定されるため、最新の公式料金ページで契約内容を確認してください。公式連携の利用には、HubSpotの対象契約に加え、Salesforce側の対応エディションと必要なAPIアクセスを確認してください。追加契約やオプション費用の有無も含めて見積もります。
- 連携で双方向同期する際の競合はどう解決しますか?
- HubSpot公式連携では、フィールドごとに「Two-way(双方向)」「Always use Salesforce(Salesforceを常に使用)」「Always use HubSpot(HubSpotを常に使用)」を設定します。一律の後勝ちルールではありません。重要項目は「Salesforceを常に使用」または「HubSpotを常に使用」を選び、双方向同期の対象を限定してください。実務では「コンタクト基本情報はSalesforce優先」「マーケ系プロパティはHubSpot優先」とフィールド単位で方向を決めるのが標準です。
- Salesforceの代わりにHubSpotだけで完結できますか?
- 可能です。HubSpotのCRM機能は近年大幅に強化されており、中堅規模までならHubSpot単体で営業活動が完結します。一方、①複雑なワークフロー、②大規模カスタムオブジェクト、③エンタープライズ商談プロセス、④AppExchangeの活用が必要な場合はSalesforceが優位。中堅・成長企業は最初HubSpot単体→規模拡大時にSalesforceを追加→連携運用、という流れが多いです。
Salesforce×HubSpot連携の設計・運用相談
クラバルはSalesforce×HubSpot連携の設計・公式コネクタ設定・運用ルール整備を支援しています。マーケ・営業の連携プロセス設計、フィールドマッピング、競合解決ルール、本番監視まで実務担当者の視点で支援可能です。お気軽にご相談ください。
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