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飲食料品の消費税率を8%から1%へ下げる案で、BtoB ECと受発注システムは何を確認する?締め請求と返品の税率

飲食料品の消費税率を8%から1%へ下げる案で、BtoB ECと受発注システムは何を確認する?締め請求と返品の税率

国税庁と財務省は、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%(国・地方合計)に下げる改正案を公表しています。法案が国会で成立した場合の内容です。食品を卸すBtoB ECや受発注システムで確かめる点は、適用税率をどの日付で判定するか、3月と4月をまたぐ締め請求書の書き方、3月以前の販売の返品、8%のまま残る経過的な取扱いの対象取引、販売管理や会計との連携です。設定の変更で済むか、提供元の更新が要るか、運用で対応するかは製品によります。

この記事は国税庁の特設サイト・リーフレット・パンフレット・Q&A(いずれも2026年9月公表)を2026年10月20日に読み、BtoBの受発注にかかわる部分をまとめたものです。法案の審議によって内容が変わる場合があります。個別の取引の税率は税務署や顧問の税理士に確認してください。

※受発注総研は、Bカート認定パートナーとして構築・運用代行を手がける株式会社Cravalが運営しています。

この記事でわかること

  • 税率1%の対象と期間、いつの取引から1%になるか
  • 15日締めなど、月をまたぐ請求書の書き方(国税庁Q&Aの記載例)
  • 返品の税率と、8%のまま残る経過的な取扱い
  • BtoB ECと受発注システムで、提供元に確かめること

飲食料品の消費税率を1%へ下げる案とは?

いまの軽減税率8%の対象の飲食料品を、2027年4月1日から2年間、税率1%にする案です。酒類や外食などの標準税率10%と、新聞の定期購読の8%は変わりません。2026年9月15日に閣議決定された大綱にもとづき、国税庁と財務省が特設サイトで説明しています。

区分2027年3月31日まで2027年4月1日〜2029年3月31日(改正案)
飲食料品(酒類・外食を除く)8%原則1%(一定の定期供給契約・通信販売には8%を適用する経過的な取扱いあり)
新聞の定期購読(週2回以上発行)8%8%
その他(酒類、外食、日用品など)10%10%
表1:消費税率(国・地方合計)の改正案(国税庁リーフレット「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」令和8年9月)

1%の対象になる飲食料品の範囲は、2027年3月31日以前に8%の対象である範囲と同じです。食品と日用品の両方を卸す会社では、期間中も1%と10%が1回の注文に混ざります。

いつの取引から1%になる?

改正案が成立した場合、2027年4月1日から2029年3月31日までに行う飲食料品の譲渡には、原則として1%が適用されます。3月31日までに結んだ契約にもとづく取引でも、4月1日以後に行われれば、後で述べる経過的な取扱いに当たる場合を除いて1%です。3月31日までに仕入れた飲食料品は、売るのが4月以後でも、仕入れの税率は8%です。

注文した日ではなく、飲食料品を譲渡した時期で判定します。国税庁Q&A(問1-3)は、売上げを午前1時で締める店が4月1日の午前0時から1時までの販売を継続して3月31日分に計上している場合、その販売に8%を適用して差し支えないと説明しています。BtoB ECでは、自社が税務上使っている売上げの計上基準を確かめ、その基準に沿って税率を判定できるかをシステムで確かめます。注文日だけで税率を決める設定にはしないよう注意します。

買い手の側は売り手から受け取った請求書(適格請求書など)に書かれた税率と税額で仕入税額控除を計算します。Q&A(問1-4)の例では、売り手が3月30日に出荷して8%で請求し、検収基準で仕入れを計上する買い手への納品日が4月2日でも、買い手は8%で計算します。区分記載請求書等で、適用された税率が明らかでない場合は、取引の相手に確認します。

月の途中で締める請求書はどう書く?

国税庁Q&A(問2-2)は15日締めで請求する飲食料品の卸売業を例に、2つの記載例を示しています。3月16日から4月15日までの請求には、3月分の8%と4月分の1%の飲食料品が混ざり、10%の商品を扱う場合はそれも混ざるためです。

記載例中身この記載例を使う場合の確認点
請求書を分ける3月16日〜31日分(8%と10%)と、4月1日〜15日分(1%と10%)を別の請求書にする締め期間の途中の日付で請求を分けて出力できるか
1枚の中で区分する3月分と4月分の小計を分け、合計欄に1%・8%・10%それぞれの対象額と消費税額を書く1枚の請求書で3つの税率ごとに集計・表示できるか
表2:3月と4月をまたぐ締め請求書の記載例(国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」問2-2から作成。月別の小計は記載例で、必要な記載事項を満たすかは帳票全体で確認する)

表2はQ&Aの記載例です。4月以後の取引に経過的な取扱いの対象があれば、その取引は8%として区分します。

適格請求書に書く項目そのものは変わりません。1%の飲食料品には適用税率1%と1%で計算した消費税額を書き、「軽減税率の対象品目である旨」を書いていれば「税率1%の対象品目である旨」を別に書く必要はないと国税庁は説明しています。適格請求書の記載事項は税率ごとに区分した合計額と適用税率、税率ごとの消費税額、登録番号などです。

3月までに売った商品の返品は何%?

2027年3月31日以前に8%で売った飲食料品が4月1日以後に返品され、代金を返した場合は、8%で計算します(Q&A問1-5)。3月以前の売掛金が4月以後に貸し倒れた場合も同じです。

システムでは、返品や値引きを、対象になった元の販売の明細に適用した税率で処理できるかを確かめます。分納などで1つの注文に3月と4月の販売が含まれることもあるため、注文の単位ではなく販売の明細の単位で見ます。

8%のまま残る取引はある?

国税庁Q&A(問1-6)は4月1日以後も8%を適用する経過的な取扱いとして、定期供給契約と通信販売の2つを示しています。ここではこの2つを取り上げます。選んで使うものではなく、当てはまれば8%です。1%を前提に契約していることが確認できる場合や、契約等が変更された場合は1%です。Q&Aは、2027年1月1日以後に契約金額を変える契約を結び、事後的な契約変更等によって1%にもとづく取引となる例を挙げています。個別の変更が当たるかは、変更の中身を確認します。

  • 定期供給契約:2027年1月1日前に結んだ、不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約にもとづき、4月1日前に代金を受け取っている分。例として、代金を先払いする季節の食材の定期便が挙げられています
  • 通信販売:2027年1月1日前に、新聞・チラシ・カタログ・インターネットなどで販売条件を示し、4月1日前に申込みを受けた分。例として、お中元やギフトのカタログ販売が挙げられています。販売条件の提示と申込みには訪問面談によるものは含まれず、販売条件の提示方法に応じ、いつでも提示できる状態も提示に含まれます(Q&Aは、販売条件を載せたカタログなどの印刷物の作成が終わった場合を例示)

卸のBtoB ECや定期の注文がこれらに当たるかは、Q&Aの例だけでは決められません。当てはまりそうな取引があれば、税務署や顧問の税理士に確認します。そのうえで、システムの提供元に次の点を問い合わせます。定期供給契約では、要件を満たす取引のうち2027年4月1日前に代金を受け取った部分に8%を適用できるか。通信販売では、販売条件の提示と申込みの時期・方法などの要件を満たす取引に8%を適用できるか。通信販売の要件には、4月1日前に代金を受け取ることは含まれていません。

BtoB ECと受発注システムで確かめることは?

確かめるのは、適用税率の判定、期間をまたぐ請求、返品、連携の扱いです。今回確認した範囲では受発注システム各社の公式な対応予定は確認していないため、使っているシステムの提供元に次の点を問い合わせます。

確かめること関係する国税庁の説明
税率を下げる対象の飲食料品に、適用日と取引の条件に応じて1%を適用し、経過的な取扱いの対象の取引や新聞の定期購読には8%を残せるか。期間が終わるときの切り替え、終わる時点で未完了の取引、それ以前の販売の返品をどう扱うか2027年4月1日から2029年3月31日までの飲食料品の譲渡には原則として1%
自社の売上げの計上基準(出荷基準など)に沿って、適用税率を判定できるか4月1日以後に行う譲渡から1%(問1-3)
同じ期間に1%・8%・10%の3つの税率を扱えるか。設定変更の前に受けた注文の税率がどうなるか締め請求の期間や経過的な取扱いで、3つの税率が混ざる
締め期間の途中で請求を分けるか、1枚の中で3つの税率ごとに集計できるか問2-2の2つの記載例
返品・値引き・貸倒れを、元の販売の明細に適用した税率で処理できるか3月以前に8%で売った分の返品は8%(問1-5)
定期供給契約では2027年4月1日前に代金を受け取った部分に、通信販売では要件を満たす取引に、8%を適用できるか定期供給契約と通信販売の経過的な取扱い(問1-6)
税込と税抜のどちらの価格を維持するか(取引先との契約と価格の方針を確認したうえで、商品マスタと取引先別の単価をどう扱うか)国税庁の資料ではなく受発注総研の整理
販売管理や会計システムで適用税率と税額が正しく扱われるよう、税率コードの対応や変換を確認できるか帳簿にも税率ごとに区分した金額を書く(問2-1)
表3:BtoB ECと受発注システムで確かめること(国税庁の説明をふまえた受発注総研によるシステムの確認項目。実装の方法は国税庁が指定したものではない)

製品の設定の仕組みはユーザーガイドなどで確かめられます。たとえばBカートのユーザーガイドは、税率ごとに適用日時を設定できること、設定を変えても既存の受注には影響せず変更後の受注から反映されることを説明しています。一方で「適用される税率は『標準税率』と『軽減税率』それぞれ1つずつ」とも書いています。このガイドだけでは、改正案の期間に3つの税率が混ざる場合への対応は判断できないため、提供元の発表を確かめます。ほかの製品も同じ観点で確認してください。

国税庁はレジやシステムを開発する事業者向けに、税制面の問い合わせを受けるメール窓口(keigen@nta.go.jp、2027年4月ごろまで設置予定)を設けています。システムの提供元が仕様を決める際の窓口です。利用する事業者の一般的な問い合わせは、消費税軽減税率・インボイスコールセンター(0120-205-553)が受け付けています。

よくある質問

飲食料品の消費税はいつから1%になりますか?
改正案が成立した場合、2027年4月1日から2029年3月31日までに行う飲食料品の譲渡に、原則として1%が適用されます。定期供給契約や通信販売の一定の取引には、8%を適用する経過的な取扱いがあります。国税庁と財務省は、法案が国会で成立した場合の内容として説明しています(2026年9月公表の特設サイト・リーフレット)。
酒類や日用品も1%になりますか?
なりません。1%の対象はいま軽減税率8%の対象になっている飲食料品と同じ範囲です。酒類や外食、日用品などは10%のままで、新聞の定期購読は8%のままです。
15日締めの請求書に3月分と4月分が混ざるときはどうしますか?
国税庁Q&A(問2-2)は3月分と4月分で請求書を分ける例と、1枚の中で3月分と4月分の小計を分けて1%・8%・10%ごとの対象額と消費税額を書く例を示しています。必要な記載事項を満たすかは帳票全体で確認します。
3月までに売った食品が4月以後に返品されたら何%ですか?
8%で計算します。2027年3月31日以前に8%で売った飲食料品の返品で代金を返す場合は、8%にもとづいて計算すると国税庁Q&A(問1-5)は説明しています。
受発注システムは税率1%に対応しますか?
2026年10月20日の時点で、この記事では受発注システム各社の公式な対応予定を確認していません。使っているシステムの提供元に、適用日を指定した切り替え、3つの税率の扱い、締め請求と返品の税率を問い合わせてください。

出典

  • 国税庁・財務省 消費税率引下げ特設サイト https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/zeiritsuhikisage.htm(2026年10月20日確認)
  • 国税庁 リーフレット「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(令和8年9月) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_leaflet.pdf(2026年10月20日確認)
  • 国税庁 パンフレット「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(令和8年9月) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_pamphlet.pdf(2026年10月20日確認)
  • 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)問1-2〜1-6、問2-1、問2-2 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_qa.pdf(2026年10月20日確認)
  • 国税庁 レジ・システム開発事業者の方向けの問合せ窓口について https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_annai.pdf(2026年10月20日確認)
  • 国税庁 タックスアンサーNo.6625 適格請求書等の記載事項 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm(2026年10月20日確認)
  • Bカート ユーザーガイド 消費税設定 https://userguide.bcart.jp/management/conf/conf_tax/(2026年10月20日確認)

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