この記事でわかること
- YouTubeチャンネルのM&A相場
- YouTubeチャンネルM&Aで人気のカテゴリ
- 売上0円のチャンネルでも売却の可能性はあるのか
- YouTubeM&Aで気を付けるべき注意点
本記事では人気動画SNS「YouTube」のチャンネルM&Aについて、オープンソースの情報を元に調査結果をまとめている。ティーン・若年層から高齢層まで幅広いユーザーに浸透しているYouTubeでは閲覧側も然り、動画を発信する側の人口も増加傾向にある。YouTubeチャンネルのM&Aを検討されている方はぜひ活用してほしい。
調査概要
- 調査対象:オープンソースでの公開情報(2024年9月時点)を基にしたYouTubeチャンネルのM&A情報
- 調査期間:2022年1月〜2024年9月
調査結果
企業がYouTubeアカウントをM&Aする理由
現在、YouTubeは国内ユーザー7,200万人以上を誇る最大手の動画プラットフォームだ。一度投稿したコンテンツはプラットフォーム上に恒久的に存在し、ユーザーへリーチすることが可能であり、また、プラットフォームの特性上、他チャンネルのファンからも集客が見込める点もマーケティングにおいて大きな効果を期待できる。
企業YouTubeチャンネルの成長性
2016年〜2022年の8年間で企業が運営するYouTubeチャンネル数はおよそ1.4倍になっている。有名企業もこぞってYouTubeというプラットフォームの活用に励んでいると見受けられる。
YouTubeM&Aの現状
M&A件数とM&A規模の推移(2022〜2024)
2022年から2023年にかけては、投資額としてはおよそ72%、M&A件数としては221%の成長を記録している。YouTubeチャンネルのM&Aは近年、急速に拡大していると見受けられる。
※2024年のみ8ヶ月分のデータ
月当たりのM&A件数と平均規模の推移(2022〜2024)
平均投資額が減少し、M&A件数が増加傾向であることからスモールサイズのM&A案件が増えていると窺える。2022年から2023年にかけては平均投資額が47%DOWNに対して、月当たりのM&A件数は322%UPしており、YouTubeのM&A市場としても成長していることが考えられる。
M&Aに要する期間と交渉申し込み数
YouTubeアカウントのM&Aに要する平均の交渉期間は21.4日、最長で362日間ということがわかった。1件あたりの交渉申込数の平均は11.7件、最大では118件の実績がある。
売却案件の傾向
売却案件の収益状況
- 約12%は売上(月)が0であるにもかかわらず売却に成功
- 売却案件の売上(月)のボリュームゾーンは数万円程度
- 最大売上(月)は相当程度の案件であった
収益状況別の売却金額
利益がマイナスである案件のほうが売却金額が高くなっていることがわかる。背景としては、利益マイナスの案件の方が平均売上が高く、売上構築をできている観点から利益マイナスでもコストコントロールによって利益が創出できると考えられていると想定できる。
売却案件マネタイズの方法
YouTubeプラットフォーム自身が提供しているマネタイズモデルが主流となっている。平均売上においては企業案件が最も大きいという結果となった。複数のマネタイズ手法を併用しているチャンネルも多数存在する。
売却案件のチャンネル登録者の状況
基本的にYouTubeの収益化条件である登録者1,000人以上が95%以上を占めている。ボリュームゾーンは1〜5万人の登録者数だ。チャンネル登録者1万人以上は全体の約3%と言われており、一握りのチャンネルが収益化に成功していると窺える。
チャンネル登録者数からみる収益状況
基本的にはチャンネル登録者数に比例して収益が大きくなる傾向だ。「売却金額/売上」の観点では1,001〜3,000人のチャンネル登録者数付近から1年以内の投資回収が見込める案件が増えると窺える。
1チャンネル登録者数あたりの売却金額
売却案件の中で売上の有無によってチャンネル登録者数に大きな差はないが売却金額では大きな差が見受けられる。結果、1チャンネル登録者あたりの売却金額は両者で約7倍の差が生まれていることがわかった。
売却案件のチャンネルカテゴリの状況
「ゲーム・漫画・アニメ」「学び・教育」「エンタメ・芸能・音楽」の3カテゴリで約75%を構成している。登録者数においては「学び・教育」が、売上・利益においては「エンタメ・芸能・音楽」が最も高い結果になった。
ゆっくり系チャンネルの傾向
ゆっくり系チャンネルとは、音声合成ソフトを使って実況や解説を行うチャンネルのことを指す。構成比率は人気の上位3ジャンルが全体の傾向と同じとなっている。登録者数、売上、利益の傾向についても同様だ。
ゆっくり系チャンネルの売却条件
ゆっくり系のチャンネルにおいては、カテゴリごとに売却金額やEBITDA倍率に差が見られる。特定カテゴリの売却金額が最も高く、別カテゴリのEBITDA倍率が最も高い結果となった。
切り抜き系チャンネルの傾向
切り抜き系チャンネルとは、動画の本筋以外の部分をカットして再編集した動画を投稿するチャンネルのことを指す。構成比率は全体の傾向と大きく異なり、「エンタメ・芸能・音楽」が最も大きな割合を占めている。登録者数・売上・利益はいずれも「雑学」カテゴリが最も大きい結果となった。
切り抜き系チャンネルの売却条件
切り抜き系チャンネルにおいてもカテゴリごとに売却条件は異なる。特定カテゴリが最も売却金額が高く、別カテゴリが最もEBITDA倍率が高い結果となった。
傾向から見る分析
人気の上位3カテゴリについて
売却件数の多い「ゲーム・漫画・アニメ」「学び・教育」「エンタメ・芸能・音楽」の3カテゴリを分析した。「エンタメ・芸能・音楽」が最も売却金額が高く、「学び・教育」のEBITDA倍率が最も高い結果になった。いずれのカテゴリも1年前後での回収が見込めることがわかる。
お買い得カテゴリについて
平均して投資金額の回収を1年以内に完了しているカテゴリが複数存在する。売却件数も多く、買い手にとって狙い目のカテゴリであると考えられる。
売上0でも売却可能性のあるカテゴリ
売上0の売却案件の中でおよそ半数を占めるカテゴリが存在する。平均のチャンネル登録者としても最も多い一方で、売却金額が最も高いカテゴリも特定されている。
YouTubeチャンネルのM&Aにおいて気をつけること
切り抜き系チャンネルの注意点
他者チャンネルの動画を素材として活用する切り抜きチャンネルでは以下の点に注意が必要だ。
- 著作権侵害のリスク:元動画の著作権者から許諾を得ているか確認が必須
- 元チャンネルとの権利関係の確認:切り抜き許可の範囲や条件の精査
- プラットフォームの利用規約遵守:YouTube側のポリシー変更リスク
また直近では切り抜きチャンネルの収益を停止されたケースも報告されている。
買い手側の注意点
高掴みしないための買収指標や譲渡後の安定的な運営継続のためのリソース・ノウハウの確保、法規制や利用規約等の多岐に渡る観点での配慮が必要だ。
- 適切な買収指標の設定:EBITDA倍率や投資回収期間を事前に算出し、過大評価を防ぐ
- 運営リソースの確保:チャンネル運営に必要な動画制作体制やノウハウの引き継ぎ
- 法規制・利用規約の遵守:YouTubeの利用規約変更リスクや、チャンネル譲渡に関するプラットフォームのポリシーの確認
よくある質問
YouTubeチャンネルのM&A相場はどのくらいですか?
チャンネルの規模やカテゴリにより大きく異なりますが、スモールサイズの案件が増加傾向にあります。チャンネル登録者1,001〜3,000人付近から1年以内の投資回収が見込める案件が増えるという調査結果が出ています。
売上0円のYouTubeチャンネルでも売却できますか?
はい、調査対象の約12%は月間売上0円にもかかわらず売却に成功しています。チャンネル登録者数やコンテンツの質、カテゴリによっては売上がなくても買い手がつくケースがあります。
YouTubeチャンネルM&Aで人気のカテゴリは?
「ゲーム・漫画・アニメ」「学び・教育」「エンタメ・芸能・音楽」の3カテゴリで売却案件全体の約75%を占めています。登録者数では「学び・教育」が、売上・利益では「エンタメ・芸能・音楽」が最も高い結果となっています。